Q:自分の所有している土地が海や湖に面していて、地盤沈下などで水に沈んでしまったらどうなるのですか?所有権や固定資産税、登記・抵当権などなど…
水没した土地に関する法的な取扱いは…
✅ 所有権はどうなる?
- 土地が地盤沈下や災害で水に沈んだとしても、すぐに所有権が消えるわけではありません。
- 原則として登記上は「土地」として残り、所有者の名義も維持されます。
🔹 つまり → 水没しても自分の土地のまま
✅ 登記はどうなる?消える?
- 登記上の「地目(ちもく)」が例えば「田」や「宅地」だった場合、水没しても自動では変更されません。
- ただし、市町村や法務局の判断によって「地目変更」や「地図訂正」などがなされることがあります。
- 完全に湖や海の一部となってしまった場合、最終的には登記簿から閉鎖(土地消滅)されるケースもあります。
✅ 固定資産税は?
- 税務上は「使えるかどうか」で課税が変わるとは限らず、登記簿上の土地として存在している限り、基本的には固定資産税の課税対象になります。
- ただし、役所に申し出て現地確認を受け、**利用不能(=課税標準がゼロになる)**と判断されれば、課税が免除または減額される可能性があります。
📝 重要:これは自治体によって対応が異なるため、現地調査の申請と申立書類が必要になる場合があります。
✅ 抵当権は?
- 抵当権も登記簿に記載されている限りは有効です。
- ただし、その土地の経済的価値がなくなれば、実質的には「担保力がなくなった」ことになります。
- 金融機関が新たに担保を求めてくるか、担保解除の判断をする可能性もあります(ただし、これは銀行の内部判断次第)。
💬 具体的なケースで分けると
状況 | 所有権 | 登記 | 固定資産税 | 抵当権 |
---|---|---|---|---|
水没して一時的に使えない | 維持される | 維持される | 原則課税される | 維持される(価値は減) |
長期にわたって恒久水没 | 維持されるが行政判断で消滅も | 地目変更・閉鎖登記の可能性あり | 減免または免税の対象になる可能性 | 銀行との協議対象 |
🧾 実務的なアクション
- 市町村の資産税課や法務局に状況を申請
- 水没状態を証明(写真・現地立ち会い)
- 利用不能の理由を説明(自然災害・地盤沈下・災害記録など)
- 必要に応じて登記地目変更または閉鎖登記を申請
- 「宅地→池沼」などの変更
- 永続的水没なら「地目なし」で閉鎖される場合も
- 抵当権者(金融機関)へ状況報告
- 担保価値の見直し・代替担保の提示などが求められる場合あり
🧠 まとめ
- 水没してもすぐに「土地じゃなくなる」わけではない。
- ただし、長期・恒久的に使用不能なら、登記や課税評価も見直される可能性がある。
- 行政や法務局とのやり取りが必要で、「何もせず放置していたら税金だけ取られる」リスクもある。