芥川賞作品のレビュー

こんにちは、minoruです。

芥川賞というのは正確には芥川龍之介賞と言うらしいですね。純文学短編の無名もしくは新進作家が受賞対象になる賞だとの事。で、純文学とは何かと言うと、娯楽性よりも芸術性に重きを置いている小説の事だそうですよ。

読んでいる最中が楽しくて、あー面白かった。で終わるのではなく、読後に何かしら心に感じるものがあるのが「芸術性のある小説」という事になるようなのですが、キッチリした定義があるわけでは無いそうです。

さて、芥川賞と言えばお笑い芸人の又吉さんが受賞した事でも知られていますよね。

作品として面白かったか、面白くなかったか、と問われれば、私はすごく面白かったと思っています。作品から何かを感じるというよりは、この火花という作品を通じて、今まで著者が芸人としてどのような姿勢でやってきたか…というあたりを感じたような気がします。

お笑いがテーマになっているだけに一見すると大衆小説(純文学と対照的な位置づけ)のように娯楽に重きを置いているかのように見えるのですが、実は作品の端々にふと考えさせられる部分が散りばめられていたりします。

で、この火花と同時受賞という事で注目されたスクラップ・アンド・ビルドという作品。

こちらも面白い小説でした。

確かに読んでいる最中にすごくハラハラドキドキするかと言われれば、そうではない。読後に何か考えさせられる、心に何かを感じるかと言われれば、全くその通り。

このスクラップ・アンド・ビルドを読み羽田圭介さんの他の作品に興味を持ち、御不浄バトルという作品を読んでみました。

ところがこちらの御不浄バトルはスクラップ・アンド・ビルドとは違い読後に何か考えさせられたり、心に何かを感じたり、感情を動かされるという事がありませんでした。

まあもちろん御不浄バトルは芥川賞とは無関係ですから、当然の事と言えば当然の事なのですが、表現方法がどうとかという話ではなく、スクラップ・アンド・ビルドと比べて圧倒的にリアリティが足りないと私は感じました。

面白くないわけでは無いのですが、物足りなさを感じます。小説というのは当然フィクションなのですが、そこをどうフィクションぽさを読者に感じさせないかというのは小説の面白さの1つなのでは無いでしょうか。

それから1年後の2016年芥川賞受賞作品のコンビニ人間も読んでみました。

この作品もとっても面白かったです。

当然ではありますが、さすがに有名な賞を受賞しているだけあって、芥川賞受賞作品は今まで上記の3つしか読んだ事がありませんが、その3つともが面白いというのはすごい事です。

どの作品にも「あぁ、こういう人が日本のどこかにいそうだなぁ…」と思ってしまうようなリアリティがあり、引き込まれるものがあります。

感情を動かされたという点では、芥川賞受賞作品ではありませんが、新海誠さんの「君の名は。」が当てはまるかなと思っています。

滝と三葉の運命的な出会いが、自分自身と自分のパートナーとの運命的な出会いと重なり、自分自身がパートナーを守るために時空を超えて出会いに来たというのが、実に私が常日頃思っている事を代弁しているように感じるのです。

そう、上記芥川賞の受賞作品は「あぁ、日本のどこかにこんな奴おりそうやなぁ…」というあくまで他人のストーリーとして眺めていたのが、君の名は。では「これはわしのストーリーやないかい!」と主観的に読んでしまったわけです。

リアリティと感情移入、この2つが小説の面白さの大きなポイントになっているのではないかと、ふと思った次第であります。

苦役列車

こちらも芥川賞受賞作品で、西村賢太さんの私小説である苦役列車。

私小説とは作者の体験などを元にしたストーリーの作品の事を言うのですが、この西村賢太さんは中卒で若い頃にブルーカラーの仕事をしていた経歴があります。

私も肉体労働をしていた時期があり、こういう描写は机に向かって本を読んでいるだけのお坊ちゃん、お嬢ちゃんでは書けないなと思う作品だと思いますね。

これも面白い作品ではありますし、読後に心に考えさせられる「何か」が残るのも、他の芥川賞受賞作品と同じですね。ただ、芥川賞って新人賞なんですよ。だから、荒削りと言うか、どの作品もあと少し盛り上がりが欲しいな…という気持ちは残ります。

芥川賞は純文学という事は最初に述べましたが、その対局に位置するのが大衆小説で、読んだあとに心に何かが残るわけではなく、あー面白かった。で終わる作品です。

上記の苦役列車の次に読んだのがまさにザ・大衆小説と呼べそうな宮藤官九郎さんの「きみは白鳥の死体を踏んだ事があるか(下駄で)」という作品。

この作品は読んだ後に何か心に残ったり、考えさせられたり、人生の価値観を変えてしまったり、そういう事は一切ありませんが、読んでる最中がただただ面白いという作品です。

一応作者の私小説という点では苦役列車と同じですが、私小説とは言いつつも作者自身も言っているようにフィクションの割合も多く、リアリティという点ではやや少なめです。

芥川賞とは真逆にある作品ですが、面白いのでおすすめです。

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